病気や薬の影響で免疫機能が低下していることを、免疫抑制状態といいます。免疫抑制の原因や程度は様々であり、状況によってはワクチンを受けることができる場合も、できない場合もあります。ここではとくにステロイド剤とワクチン接種の可否について説明します。
なお、個々の患者さんのより詳しい状況については、主治医にご相談されることをお勧めします。
不活化ワクチン
免疫抑制剤・免疫抑制状態によって副反応のリスクが増大することはありませんので、接種できます。しかしワクチンに対する反応は十分でないことが多いです。
生ワクチン
一般に重大な副反応の危険性が増すため、接種できないことが多くなります。(ここでは、BCGは生ワクチンに含みます)
- 癌化学療法
終了から少なくとも3か月あける必要があります。 - 造血細胞移植
日本造血細胞移植学会「予防接種ガイドライン2008」を参照して下さい。 - 実質臓器移植
ワクチンは原則として移植前に。不活化は移植後6か月以上なら可。 - 抗炎症作用を有するリコンビナント抗体(ヒュミラ、レミケード、エンブレル)、抗Bリンパ球抗体(リツキサン)など
しばしば免疫抑制状態は長引きます。(少なくとも中止後1か月以上。)
その他、免疫抑制剤の種類、放射線治療、原疾患などに左右されるので一般化できません。
ステロイド投与と生ワクチン
ステロイド(種類・量・投与期間) | 生ワクチン接種の可否 |
---|---|
局所投与、局所注射、吸入ステロイド | 可 |
生理的維持量のステロイド | 可 |
少量、中等量(連日、または隔日)PSL換算で
<2mg/kg/d または 体重10kg以上で<20mg/d |
可 |
高容量(連日または隔日)、PSL換算で
≧2mg/kg/d または 体重10kg以上で≧20mg/d |
中止後 2週間 あけて可 |
高容量(連日または隔日)、PSL換算で
≧2mg/kg/d または 体重10kg以上で≧20mg/d |
中止後 1か月以上 あけて可 |
原発性免疫不全症およびAIDSについては略。
アメリカACIP、Pink Book(予防接種マニュアル)に準拠して作成。
ステロイド軟膏について
生ワクチンの接種は可能だが、BCG接種の場合のみ前日入浴後から上腕にステロイド軟膏は塗布しない。
長野県立こども病院 予防接種センター
2018年09月改訂