赤い屋根通信

第15回 ディート、その正しい使い方

虫除けは、「ディート(DEET)」という薬剤が含まれているものが有効です。怖い感染症を運ぶ蚊やダニだけでなく、ヒル(!)やナメクジ(!!)にも有効です。

さて、いきなり問題です。日焼け止めと虫除けを一緒に使用する場合は、どちらを先に塗布すると良いでしょうか?
答えは次回、って言うのは冗談で・・・、最後まで読んでくだされば分かります。

Wikipedia(ウィキペディア)によりますと、ディートは第二次世界大戦中のジャングル戦の経験に基づき、アメリカ陸軍で開発されたそうです。安価であることと有効性の高さにより世界中で使用されています。しかしディートも神経毒性やアレルギーなど副反応があります。決して「こどもに安全」ではありません。合わない場合は中止することと、漫然と使い続けないことが重要です。

以下はこどもに対する使用上の注意です。

1)年齢制限:6カ月未満の乳児は使用しない。2歳未満は1日1回まで。2歳以上12歳未満は1日3回まで。

2)手のひら、顔面への塗布はしない。(特に乳幼児)目に入ったり、なめたりすることを防ぐためです。

3)ディート濃度10%未満のものにする。これは米国小児科学会の推奨でもあります。日本にはディート濃度12%の製品があります。

4)スプレー型のものは、吸入する恐れもありますし、有効性(付着効率2割程度)も乏しいです。大人が手にとって、こどもの皮膚に直接塗布するのが良いでしょう。ティッシュ型は便利ですね。

5)お出かけが終わったら、できる限り早く石鹸などで洗い落しましょう。

<答え>日焼け止めを最初に塗り、その上から虫除けを塗ってください。暮らしのワンポイントアドバイスです。

2015年08月19日
小児集中治療科 副部長 笠井 正志

この記事は過去に市民タイムスで紹介されたものです。特別に許可を得て掲載しています。(一部改編)

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