2015年11月16日から22日は、世界抗菌薬啓発週間です。
皆さんはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や多剤耐性緑膿菌といった言葉を聞いたことがありますか?これらは「耐性菌」といって、抗菌薬(抗生物質)が効きにくい細菌です。耐性菌による感染症にかかると、治療が非常に難しくなります。このような耐性菌がいま世界中で発生し、拡大しています。このままでは近い将来、有効な抗菌薬がなくなってしまい、かつては治療できていた感染症で多くの人が命を落とすようになるかもしれません。
耐性菌の拡がりを少しでも抑えるためには、まず抗菌薬の使用量を減らすことが大事です。もちろん、必要なときには適切に使用しなければなりませんが、実はたくさんの抗菌薬が不必要に使われているのです。たとえば、ほとんどのカゼはウイルスによる感染症であり、抗菌薬は効きません。しかしじっさいは多くの抗菌薬がカゼに処方されています。(お子さんがカゼをひいたとき、小児科や耳鼻科で抗生物質を処方されたことはありませんか?)
あるいは熱が出たとき、以前処方された抗菌薬の残りを飲んだことはありませんか?
ささいなことのようですが、こうした行動が耐性菌を増やし、広めてしまうのです。
わたしたち医療者が必要のない抗菌薬処方をやめること、患者さんとご家族の皆さんに抗菌薬の不必要な使用が将来のこどもたちのためにならないことを知っていただくことがとても大切なのです。
世界抗菌薬啓発週間のページリンクは以下の通りです。関心のある方はぜひご覧ください。
http://antibioticawarenessjp.jimdo.com
当院でも抗菌薬の適正使用と啓発活動を、身近なところから実践していきたいと思います。
未来のこどもたちに、たいせつな抗菌薬をのこすために。
皆様にもぜひご理解いただき、ご賛同いただければ幸いです。
2015年11月
感染制御室一同