赤い屋根通信

第3回 RSウイルス予防薬(シナジス)の適応拡大について

毎年、秋から冬にかけて流行する「RSウイルス感染症」をご存知ですか?

普通は鼻水、咳、熱程度で済むのですが、重くなると細気管支炎や肺炎となって呼吸困難になったり入院することもあります。0歳から2歳までのお子さんがかかりやすく、こども病院でも毎年10人以上のお子さんがこの病気で人工呼吸器や集中治療を必要としています。

RSウイルスに対しては、現在「シナジス」という予防薬があります。ワクチンはまだなく、現時点では唯一の予防薬です。シナジスは注射薬で、RSウイルスに対する抗体(免疫グロブリン)が含まれています。流行シーズン中に毎月1回、太ももの筋肉に注射します。長野県内では毎年10月から3月に接種する医療機関が多いです。この注射を受けることでRSウイルス感染症による入院は半分以上減らせます。

これまでは妊娠36週未満の早産で生まれたお子さんと生まれつきの心臓病をもったお子さんだけがシナジス注射を受ける対象でした。しかし今シーズンから、新たに免疫不全のあるお子さんとダウン症のお子さんも接種適応になりました。「うちの子はどうかな?」と思われる方は、まず主治医や担当者とご相談ください。

今回新たに接種適応となるお子さん

シーズン開始時に生後24ヶ月齢(満2歳)以下のお子さんが対象です。

ダウン症

  • ・著しい巨舌、気道軟化症など気道・肺の問題がある場合
  • ・これまでに呼吸器感染やウイルス感染症で入院歴がある場合
  • ・血液検査でリンパ球減少がある場合

免疫不全症

  • ・骨髄抑制をきたす化学療法を受けた方
  • ・臓器移植を受けた方
  • ・ステロイド薬を高用量・長期使用中など

2013年9月10日
総合小児科副部長 南 希成

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