赤い屋根通信

第13回 こどものおしっこの悩み

お子さんにこんな症状はありませんか。

  • おねしょがいつまでも治らない。
  • おしっこが漏れてパンツやズボンを濡らしてしまう。
  • パンツがいつも(ちょっとだけ)濡れている。
  • 急におしっこに行きたくなる。授業中や出かけるときもトイレが心配。
  • いつもぎりぎりまで我慢している。
  • おしっこの感じがわからないみたい。

おしっこの問題は高齢者のことのように思われますが、実は子どもにもみられ、小学生の5-6%に週に1回以上、下着が濡れる程度の尿失禁のあるいるといわれています。
このような症状は、自信のなさや、「修学旅行が心配」など本人、家族の心理的負担につながります。

膀胱は薄い筋肉からできており、尿がたまるときには、リラックスをしています。尿がたまるにつれ尿意を感じます。トイレに入り、おしっこをしようと意識すると、膀胱の壁が縮み、同時に尿道が開くので排尿ができます。5〜6歳になるまでには、このようなしくみが正常にはたらくようになり、尿がもれることがなくなります。

子どもで最もよく認められる異常は、過活動膀胱です。過活動膀胱では、自分がおしっこを出そうと思っていないときに膀胱が勝手に縮んでしまい、それに伴って急に「おしっこを出したい、我慢できない、もれそう」という感じが起こるのです。お子さんがいつもおしっこを我慢しているわけではないのです。過活動膀胱は、おねしょ/夜尿症の原因にもなります。また、尿の問題のあるお子さんには便秘や便のもれもしばしば認められます。

過活動膀胱以外にもさまざまな問題がありますが、子どもの尿の問題は膀胱の働きが未成熟なためで、成長に従って自然に治る場合が多いですが、一方で生まれつきの膀胱や尿道の形の異常や、膀胱、尿道を支配する神経の異常が原因となっている場合もあります。そして、腎盂腎炎などの尿路感染症や、腎臓の機能障害を起こすことがあります。

ある程度の年齢以上になり、自分でトイレに行けるようになると、夜尿や着替えが必要なほどの失禁がない場合には、親御さんがお子さんの排尿や排便の問題に気づいていないことが多いです。実際、尿路感染をきっかけに受診した際に排尿、排便の問題がわかることがあります。

この機会にお子さんの排尿、排便について考えてみませんか。

2015年01月29日
泌尿器科 部長 市野 みどり

2015年2月28日(土)公開講座「悩んでいませんか?こどもの「おしっこ」と「うんち」」を開催致します。当院の泌尿器科医師と皮膚・排泄ケア認定看護師による講義の後、質疑応答の時間もございます。
入場無料・申込不要ですので、是非ご参加ください。(講座は終了しました)

TOP