赤い屋根通信

第20回 地域のお子さんと保護者の方へ ~新型コロナウイルス感染症について

連日、新型コロナウイルス感染症についてのニュースが報道されています。県内でも患者さんが見つかり、学校も臨時休校になるなど不安を感じている方もおられると思います。
現時点で新型コロナウイルスについて分かっていることと対処について述べます。

1.小児は大人よりも新型コロナウイルスに感染しにくく、重症化もしづらい。(感染してもほとんどは軽く済みます)

2.症状は発熱、咳、だるさなどで、ほかの風邪と区別できません。
したがって医療機関を早めに受診しても、「風邪」という診断がつくだけです。風邪症状で受診して、インフルエンザや溶連菌といった診断がつくこともありますが、むしろ例外です。じつは原因が特定できない風邪のほうが圧倒的に多いのです。また、風邪の患者さん全員に新型コロナウイルスの検査を行うことは必要ありませんし、実施もできません。

3.新型コロナウイルスによる「風邪」は1-2週間で自然に治ります。
これまでの報告から、感染者のうち8割は軽い病状で済み、1-2週間ほどで自然に治ることが分かっています。特に50歳未満の方ではめったに重症化しません。また今のところ有効性が証明された治療法もないため、手当も対症療法のみです。ですので、症状の重くないほとんどの方は自宅療養で治ります。大切なのはしっかり休養をとり、十分な睡眠と栄養をとることです。あまり薬の出番はありません。(解熱剤くらい)

4.医療機関への受診の目安
発熱、咳などの症状が4日以上続く場合、または強いだるさ(倦怠感)や息苦しさがある場合が一般的な受診の目安です。(厚労省「国民の皆さまへのメッセージ」、2月25日)
もしも2週間以内に新型コロナウイルスに感染した方と接触した可能性があるようでしたら、まずは地域の保健所に電話でご相談ください。(松本保健所:0263-40-1939)
元々ご病気があって通院している方は、上のような症状が2日以上続いた時点で医療機関に相談しても良いでしょう。

5.ご家庭での過ごし方・感染対策
風邪気味だったり熱があるときは無理をせず、外出を控えましょう。
小さいお子さんでは特に水分補給に努めてください。食事は欲しがらなければ無理に与えなくても良いですが、代わりにスープ、ゼリーなどで栄養補給しましょう。1歳を過ぎたお子さんならハチミツも良いでしょう(眠る前に飲むと咳を和らげる効果があります)。睡眠はできるだけしっかりとりましょう。
お子さんがきちんと着用できるなら、風邪の症状がある間はマスクを付けましょう。可能であれば看病する人もマスクを着用し、こまめに手洗いすることをお勧めします。
部屋の換気も十分に行ってください。高齢の方や糖尿病など慢性の病気をお持ちの方との接触はなるべく控えた方が良いです。
咳やくしゃみ、鼻水があるけれど外出が必要なときは、人前ではマスクをつけたり、しぶきが飛散しないようハンカチやティッシュで口と鼻を覆ってください。石鹸による手洗いや手指のアルコール消毒は新型コロナウイルスを含む多くの病気の感染予防に有効です。
新型コロナウイルスの流行が続く間は、基礎疾患のある方や60歳以上の方は大勢の人が密集するような、特に室内での集まりやイベントなどへの参加は控えた方が良いでしょう。若年で健康な方も人込みなどはなるべく避けた方が良いでしょう。
天気の良いお休みの日にはこどもさんと近所を散歩したり、サイクリングしたりするのも良いでしょう。天気の良くない日はお家で本を読んだり工作などをして過ごすのも良いでしょう。

高齢の方や慢性の病気を持っている方に風邪をうつさないよう、日ごろから心がけていただきたく存じます。高齢でない方も、無理をしてイベントや旅行を強行されないようお願いします。
今回の流行が少しでも早く終息し、普段通りの生活に皆様が戻られることを祈念するとともに、私どもも微力ながら対策に努めてまいります。

2020年3月4日
感染制御室・病院長

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