赤い屋根通信

第5回 インフルエンザ被害を最小限にする

インフルエンザは例年1月頃に流行します。流行期はあちこちに感染者(発症者だけではなく、未発症の人も)がいますので、どこでウイルスをもらうか分かりません。流行期に有効な予防策は、実はほとんどないです。国民の約3分の1(~2分の1)が感染するまで、流行は収まらないでしょう。

流行期は、「被害を最小限にする」ことを目標にしましょう。そのために理解していただきたいことは、インフルエンザは、自然治癒疾患である、ということです。
「インフルエンザっぽい → すぐ受診 → インフル検査 → タミフル」という短絡思考は間違いです。
医療は、そんなに単純ではないです。重症度も様々ですし、他の疾患の可能性もありますし、リスクは個々で異なります。被害を最小限にするには、これらをしっかりと見極め、よりリスクの高い方(乳幼児、妊婦さん、ご高齢者、心肺系基礎疾患)に、感染させないことに重点を置くべきです。自分だけが「早く治したい」、「タミフルで熱だけ下げて出勤・登校する」のではなく、よりリスクの高い人にうつすことを避けるためにも、罹ったら家でゆっくり休養するという、発想の転換をしませんか。

流行期はあきらめて、「罹ってもしょうがない」という開き直った気持ちで臨み、他者へ配慮に重きをおきましょう。それでも絶対に罹りたくなければ、「他人に会わない・出かけない」しか方法がありません。流行期に大事な仕事やイベントを入れないことが重要ですね。受験シーズンを秋にずらすは、非常によい方法だと思います。

2013年12月03日
小児集中治療科副部長 笠井 正志

※この記事は過去に市民タイムスで紹介されたものです。特別に許可を得て掲載しています。(一部改編)

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