赤い屋根通信

第10回 こどもの見え方について

私達のモノを見る仕組みは、カメラと画像処理するコンピューターに例えられることが多いです。
カメラが上手にモノを捉え、ピントを合わせて、それがコンピューターに送られ解析された時に初めて綺麗な画像が得られます。同様に、眼球(カメラ)がモノを捉え、脳(コンピューター)で解析されて初めて「見える」という感覚が得られます。

では、ヒトは生まれた時から見えているのでしょうか?

ヒトは生まれたときは見えていません。
生まれたばかりの赤ちゃんは、視線を合わせようとしても、どこを見ているのだろうかという目つきが印象的です。
実際、生直後の赤ちゃんは明暗くらいしか分からず、何かに焦点を合わせて見ることはできません。ここから目を開けて、外界の沢山の刺激を受けることで、脳の解析力が発達し、初めて見えてきます。見える精度が上がる=視力が伸びるということです。乳児期に~0.2、幼児期に0.4~1.0と発達し、成人と同じになるのは学童期前半です。この間がいわゆる視覚の発達期です。「見える」という感覚は目を開けて刺激を受けることで伸びていく機能です。逆に、生まれてから目をつむっていれば、いつまで経っても見えないということです。視覚の発達期の見るという経験がとても大切ということが分かりますね。

視覚の発達期は、外界の刺激をぐんぐん吸収し、どんどん発達する、良いことばかり?!
でも、少し注意しなければならないこともあります。視覚の発達期は、発達だけでなく、動揺したり停止したり、時には退化することもあります。眼疾患があれば、視力が発達しにくいのですが、誰でも多少はある屈折異常(近視、遠視、乱視)でも、その程度によっては視力の発達を障害します。常にはっきりした映像が脳に送られている人と、常にぼんやりとした映像が脳に送られている人、どちらの視力が発達し易いでしょうか?勿論、はっきりした映像の人です。視覚の発達期にある子供の見え方や特性を理解し、何か障害されそうな要因があれば対処する。そうすれば、より視力の発達が促されます。

子供の見え方に何か疑問を抱いたとき、まだ小さくて分からなそう、検査できなそう…と躊躇しますが、視覚の発達期だからこそ出来ることもあります。治療の時期を逃さないために、気になることがあれば、眼科に相談してみましょう。

2014年08月28日
視能訓練士 秋山 智恵

※2014年9月27日(土)公開講座「視機能の発達と目の病気~大人と違うこどもの目~」を開催致します。当院の眼科医師と視能訓練士による講義の後、質疑応答の時間もございます。
入場無料・申込不要ですので、是非ご参加ください。(講座は終了しました)

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