診療科・部門

臨床工学科

臨床工学科

臨床工学技士とは、1987年に「臨床工学技士法」が成立し、世界で初めて臨床工学技士の国家資格制度が誕生しました。翌年、最初の国家試験が実施され国家認定されてから、21年という歴史の浅い医療技術職です。
では、なぜこのような職種が誕生したのでしょう。
近代医療において多数の高度医療機器が不可欠です。これらの安全性や信頼性が、患者さんの生命に直接または間接に影響するので、これらの機器を安全に信頼性高く操作、管理することが医療において極めて重要になってきました。
このような問題を解決するために、臨床の場に医学と工学の知識と技術を兼ね備えた医療技術者を導入せざるを得なくなり、臨床工学(Clinical Engineering)が誕生しました。当院では臨床工学科(頭文字を取ってCEとよんでもらっています)として存在しています。
守備範囲としては【生命維持管理装置の操作をはじめ各種医療機器の保守点検など専門的かつ包括的管理】と広範囲にわたります。

CEサービスセンター設立の目的

  1. 各診療科共通および共同利用が可能になるよう医療機器の中央化、それに伴い合理的な運用を図り、各診療科の医療および看護に貢献する。
  2. CEサービスセンター管理下にある生命維持管理装置の操作を行うことで、臨床技術を提供し、各診療科の医療および看護に貢献する。
  3. 医療機器の実践に必要な操作などの定期的な勉強会を主催し、合理的かつ安全な運用を促進する。
  4. 研究や実験などを行い、よりよい医療技術の提案に努める。
  5. 学会、研究会、講習会などに積極的に参加し、新しい技術への研鑽に努める。
  6. CEサービスセンター全ての業務データおよび物品をデーターベース化し、業務内容の見直しや至適物品量の見直しなどに運用できるようにし、病院内の不良在庫削減および支出額削減に貢献する。

業務内容(中央管理)

人工呼吸器

人口呼吸器

生命維持管理装置である人工呼吸器は、呼吸が停止したり、自力で十分な呼吸が出来なかったりする患者さんに装着し、呼吸を補助または代行する装置です。この装置は各病棟・集中治療室・新生児病棟・ドクターカーなどで広く使用されています。 当院では、現在15機種75台を保有しており、これら人工呼吸器の組立・始業点検・貸出業務・巡回点検・定期的な回路交換・終業点検・物品管理といった包括的管理を行うと共に使用中の人工呼吸器が安全かつ適切に運用できるよう医師・看護師などと連携をとりながら活動しています。

また、人工呼吸器関連業務としてNO(一酸化窒素)吸入療法があり、その吸入器の運用・管理も行っています。

中央機器

人工呼吸器業務活動の様子

各科病棟・集中治療室・新生児病棟などで使用される医療機器の一括管理を行っています。
清拭・貸出管理・保守点検・部品管理・修理および機器メーカーへの修理依頼、そして機器選定・購入・操作指導・廃棄に至るまでの包括的管理を行うことで、安全な診療の実施に貢献できるよう努めています。

また、病棟での機器の抱え込みを防ぎ、円滑で効率的な運用を図ると共に計画的な機器の購入なども行っています。
管理機種は、人工呼吸器・シリンジポンプ・輸液ポンプ・生体情報モニタ・パルスオキシメーター・体外式ペースメーカーなどの医療機器です。また、日常点検・定期的な精密点検を行うことで、安全な医療が遂行できるように努めています。

業務内容(臨床技術部提供)

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査

心臓カテーテル検査室では、カテーテルと呼ばれる非常に細い管を腕や足の付け根より経皮的に心臓に挿入し、心臓の様々な部位の圧力や酸素化の状態を測定します。また、造影剤を使用して心臓の動きや心臓の中の形態および冠状動脈の形態を調べることができます。
心臓カテーテル検査では心臓疾患の診断および治療を行います。
多くが小児の先天性心疾患の検査が行われ、臨床工学技士【CE】は生体情報のモニタリング・ポリグラフのセッティング・操作・記録・解析・データ管理・各種検査室内医療機器の操作および保守点検・物品管理を行うと共に医師、看護師、放射線技師と共に安全に検査・治療が行われるように努めています。

検査の種類
血管に対するバルーン拡大術【PTA】 風船で細くなった血管を広げる
血管に対するステントン拡大術【STENT】 金属製の網目状筒で細くなった血管を広げる
大動脈弁や肺動脈弁に対するバルーン拡大術
【BAV.BPV】
風船で狭くなった弁の出口を広げる
心房中隔拡大術【BAS】 右心房と左心房を隔てる壁に穴を開ける、穴を広げる
経皮的心房中隔欠損閉鎖術【ASO】 右心房と左心房を隔てる壁の穴を金属製のディスク状器具で閉鎖する
経皮的動脈管閉鎖術【ADO】 金属製のプラグ状器具で閉鎖する
カテーテルアブレーション カテーテルの先から電気を流して,不整脈の原因である異常な伝導路を焼灼して,異常な刺激が伝わらないようにする
その他、・電気生理学的検査【EPS】・心臓再同期療法【CRT】などが行われています。

人工心肺業務

人口心肺業務

人工心肺【CPB】は、心臓の手術を行う時になくてはならない装置です。
心臓の手術を行う時は心臓を止めなくてはなりません。
その時に循環と呼吸を代行するのが、人工心肺装置です。心臓の手術を安全に行うには、人工心肺装置だけでなくいろいろな機器が必要です。
これら全ての機器の準備・操作、記録管理、保守管理を行っています。
特に、こども病院では手術を受けるのは殆どが赤ちゃんなので、とても小さく繊細なため特殊な技術を要します。
安全な手術が行えるよう心臓外科医、麻酔科医、看護師、CEスタッフ間の連携に努めています。

血液洗浄業務

血液洗浄業務

血液浄化業務には持続血液濾過透析【CHDF】、血漿交換【PE】、血液吸着療法【DHP・PMX…】などがあります。
その業務のほとんどが緊急です。
CEスタッフは24時間体制で対応しています。医師・看護師と連携をとると共に、日頃から点検や操作・組立のトレーニングを行って安全に治療が行えるように努めています。

補助循環業務

補助循環業務

補助循環業務【ECMO/PCPS】は、補助循環装置を用いて一時的に弱った心臓や肺を補助し、機能回復を図ります。
その業務のほとんどが緊急です。
CEスタッフは24時間体制で対応しています。医師・看護師と連携をとると共に、日頃から点検や操作・組立のトレーニングを行って安全に治療が行えるように努めています。

ペースメーカー業務

補助循環業務

ペースメーカーやCRTの新規植込、電池交換など手術での介助を行います。
また、外来でのフォローアップでペースメーカーのチェックを行っています。プログラマーと呼ばれる機械を操作して体外よりペースメーカーの点検や設定の確認変更などを医師と連携して行います。
ペースメーカー外来は毎月、4〜5人のチェックを行います。

末梢血幹細胞採取

末梢血幹細胞採取

自家末梢血幹細胞を採取する場合それぞれの病気の治療として、有効な化学療法を行います。
その後、白血球の回復の時期に合わせてG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子granulocyte-colony stimulating factor:G-CSF)の注射を開始し、白血球の上昇をみながら採取の日程を決めます。
採取は、血液成分連続分離装置を用いて行います。これは血液中の必要な成分(今回の場合は幹細胞を含んでいる部分)だけを集め、その他の不必要な成分(例えば赤血球など)はそのまま体に戻すことができる機械です。
採取の際には腕に2ヵ所針を刺すか、あるいは首や足の付け根に管を入れて一方から血液を抜き、一方から幹細胞分離後の血液を戻します。採取時間は約3~4時間で、最終的な採取量は約200~300mlです。採取した細胞は移植時まで凍結保存されます。この装置を操作・管理し、安全な治療が行えるよう担当医、麻酔科医,看護師との連携に努めています。

業務内容(院内勉強会や研究・実験業務)

業務内容(院内勉強会や研究・実験業務)

研究や実験などを行いよりよい医療技術の提案に努め、勉強会や学会、講習会などにも積極的に参加して新しい技術を取り入れ、認定資格取得にも力を注ぐと共に院内での啓蒙活動に努めます。

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