薬剤部では薬剤師の専門性を発揮し、小児の高度専門医療に貢献することを目標としています。医薬品の有効性、安全性の確保のため、薬剤師の役割は重要性を増しており、当院においてもチーム医療の中で求められる業務に対応するため、病棟薬剤業務、薬剤管理指導業務、注射薬調製業務などに取り組んでいます。
ここでは、主な業務について紹介します。
また、当院薬剤部は、日本医療薬学会 薬物療法専門薬剤師研修施設となっています。
調剤
医師の処方せんに従って、お薬を作ります(お薬を作ることを『調剤』と言います)。その際に、お薬の飲み方・使い方や量が正しいか、配合や飲み合わせに問題はないかをチェックします。散剤(粉薬)や水剤(シロップなど)が多く、時には錠剤をつぶしたり、カプセルをはずしたりし、個々の患者さんに適したお薬を調剤しています。
調剤監査システムを導入し、正確な調剤に努めています。
注射薬の調製
必要な栄養を食事や栄養剤などでとることができない患者さんに対して、ブドウ糖、アミノ酸、電解質、ビタミンなどを混合した注射薬(TPN)を無菌室内や病棟のクリーンベンチ内で作っています。
また、抗がん剤は決められたスケジュール(プロトコール)に従って、安全かつ適正に治療が行われるように監査した後に専用設備(安全キャビネット等)で無菌的に調製しています。
また、入院患者さんの注射薬については、注射せんに従って投与量などをチェックし、個人セットを作り、病棟に払い出しを行っています。
院内製剤の調製
承認・販売されている医薬品だけでは、多様な疾病、病態をもつ患者さんに最適な薬物療法を実施できないことがあります。その場合、薬剤師の専門性を活かし、薬学的な知識や技術を用いて行う業務が院内製剤業務です。シロップ剤、軟膏、坐薬、点眼薬、注射薬などおよそ30種類あります。また、よく使われるお薬は、あらかじめ錠剤をつぶしたり、カプセルをはずしたりすることで、効率的に調剤が行えるよう努めています。
薬剤師は院内製剤の安全性や品質の確保に努め、個々の患者さんへの最適な薬物療法の提供に努めています。
病棟業務
病棟薬剤業務
病棟で入院患者さんの持参薬の鑑別、代替薬の提案、内服薬の確認など、医薬品の情報および管理に関する業務や、カンファランスへの参加、回診への同行など医療スタッフとのコミュニケーションを図ることで医薬品の適正使用に取り組んでいます。
薬剤管理指導業務
薬剤師が入院中の患者さんのベッドサイドで、お薬の飲み方や効能効果、副作用等について説明をするとともに、指示どおり服用できているか、副作用が出ていないかなどの確認も行います。
また、患者さんからの質問や相談にもお答えしています。薬剤師にお気軽にご相談ください。
各種業務
医薬品情報管理
高度で複雑化する医療に対して医薬品情報の一元化を図り、医薬品についてのさまざまな情報を収集し、院内へ発信しています。医薬品に関する医師や看護師、医療スタッフなどからの問い合わせにも答えています。
また、過去の照会事例について、電子カルテ端末上で閲覧できるシステムを構築しています。
医薬品の管理
外部委託業者と連携し、病院内で使用する医薬品の購入、保管、払い出しをしています。病棟や外来に配置してある医薬品について管理が適正であるか確認しています。
TDM(薬物血中濃度解析業務)
バンコマイシン、フェニトイン、フェノバルビタールについて、血液中のお薬の濃度を解析し、医師に対して、治療に適した投与量、投与間隔等の提案をしています。
チーム医療への参画
NST(栄養サポートチーム)、ICT(感染制御チーム)、在宅支援チーム、こころとからだのサポートチーム、成人移行医療支援チームなどに参画し、薬剤師の視点で他職種や地域の薬局と連携し、チーム医療をサポートしています。
専門・認定薬剤師
- 《日本小児臨床薬理学会/日本薬剤師研修センター》
小児薬物療法認定薬剤師 5名 - 《日本薬剤師研修センター》
研修認定薬剤師 2名
認定実務実習指導薬剤師 1名 - 《日本病院薬剤師会》
妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師 1名
病院薬学認定薬剤師 1名 - 《日本医療薬学会》
薬物療法指導薬剤師 1名
日本医療薬学会認定薬剤師 1名 - 《日本化学療法学会》
抗菌化学療法認定薬剤師 1名 - 《日本環境感染学会/ICD制度協議会》
インフェクションコントロールドクター 1名 - 《日本静脈経腸栄養学会》
栄養サポートチーム専門療法士 2名 - 《日本糖尿病療養指導士認定機構》
日本糖尿病療養指導士 1名 - 《日本アンチドーピング機構》
公認スポーツファーマシスト 3名 - 《日本緩和医療薬学会》
麻薬教育認定薬剤師 1名 - 《日本生薬学会/日本薬剤師研修センター》
漢方薬・生薬認定薬剤師 2名
研修施設
- 《日本医療薬学会》
薬物療法専門薬剤師研修施設
院外処方せんについて
当院は厚生労働省が推進するかかりつけ保険薬局制度の方針に沿って院外処方せんを発行しています。院外処方せんの発行にご理解とご協力をお願いいたします。
院外処方せんの利点
『かかりつけ薬局』を決めておくことにより、複数の医療機関(他の病院・医院・歯科医院)で処方されたお薬について重複投与がないか、飲み合わせの悪いものはないかについて確認できます。また、市販薬との飲み合わせの確認もできます。 『かかりつけ薬局』は、自宅の近く、勤務先の近くなど、ご都合のよい薬局をお選びください。
院外処方せんの受け取りについて
- 会計時に院外処方せんをお渡しします。
- 保険薬局あてにFAX送信をご希望の場合は、無料FAXコーナーがあります。
あらかじめ院外処方せんをご希望の薬局へFAXしておくと薬局での待ち時間を短縮できますのでご利用ください。
院外処方せんの注意点
- 処方せんの使用期間は、交付の日を含めて4日間です。この期間内に保険薬局に処方せんをお持ちになり、お薬をお受け取りください。使用期間を過ぎた処方せんは無効となりますのでご注意ください。
院外処方せんについて(パンフレット)
当院では院外処方せん推進のために患者さん用パンフレットを作成していますのでご覧ください。
一般名処方について
当院では、後発品のあるお薬については、特定の商品名を指定するのではなく、有効成分名をもとにした一般的な名称により処方せんを発行(※「一般名処方」)することがありますので、ご理解とご協力をお願いします。