近年、様々な医療的ケアを活用しながら在宅での生活に戻られる小児患者さんは着実に増加しています(当院が管理し、在宅人工呼吸器を利用している患者数は1998年1人、2010年18人、2020年66人)。
しかし病院から自宅に退院できても、様々な医療的ケアを継続しながらの生活は患者さんにとっても、ご家族にとっても容易なものではありません。こうした状況を踏まえ、2019年10月より長野県立こども病院は在宅患者さんの訪問診療に取り組み始めました。
訪問診療では定期診察とともに、薬剤処方や医療材料の提供、胃ろうなどのデバイスの交換を行うことで病院受診とそれに伴う負担を軽減することができます。患者さんもご家族も、その分の時間やエネルギーを他の活動に使うことが可能になります。
訪問診療では検査や点滴などの処置などはできませんが、患者さんとご家族の生活をより広い視点や多様な立場から支え、寄り添い、ケアできることを目標にしたいと思います。
医師の紹介
訪問ケア科部長兼感染症科部長兼予防接種センター長兼訪問診療センター長南 希成みなみ きせい
小児病院が訪問診療を行っているのは全国でも珍しいことです。地域で医療ケア児がより広く受け入れられ、より良いサポートや環境を享受できるためにも、多くの皆さんに実情を知ってもらう必要があります。地域の医療ケア児とご家族のニーズに応えられるよう、他の色々な機関とも連携しつつ訪問診療・リハビリを拡大してゆきたいと考えています。
- 主な経歴
- 東京都出身。1996年信州大学医学部卒業。
卒後は松本協立病院、健和会病院(飯田市)など長野県内の病院小児科で勤務。
2008年および2014年、国際NGO「国境なき医師団」より派遣、アフリカでの小児治療ミッションに参加。
2011年より長野県立こども病院総合小児科。
2019年より感染症科部長(総合小児科と兼務)
- 所属学会・その他
- 日本小児科学会専門医、日本小児感染症学会指導医(専門医)、インフェクションコントロールドクター