診療内容・特色
- 24床の新生児病棟、PICU病棟が円滑に運用できるよう1年365日協力しています。
(平成30年度は124日、新生児診療を行っています。) - 県立の長野、松本盲学校とは、緊密な連携のもと視覚障害児支援をしています。
また保育施設、小学校、養護学校等へも必要に応じた支援をしています。 - 乳幼児、発達障害児には、TAC(テラ-アキュィティカード)をもちいた視力測定を実施しています。
- 屈折検査にはスキアスコピー、レチノマックス K-plus3®、両眼開放で行えるWelchAllyn®スポット ビジョンスクリーナーを用います。
- 眼圧検査は、icare®、icare-pro®を用います。
- 眼底透見不能例は、NIDEK社製 US4000 B-modeエコーやMRI、CT画像診断による検査を行います。
- 調節麻痺薬(ミドリンP、サイプレジン、アトロピン)を用いた屈折検査を随時行い、トプコン社製マエストロ®OCT(光干渉断層装置)、ERG(網膜電図)、VEP(視覚誘発電位)、GP視野検査を用いた多角的な診断を行っています。
- コンタクトレンズ電極を用いないレチバル®ERGは、フリッカー、コンプリートの2機種を用意してあります。
- 色覚検査は仮性同色表(石原式)、パネルD-15テストの2種類を行っています。
(アノマロスコープは当施設にありませんので必要な場合に他施設に紹介します。) - ダウン症候群などの症候群については、眼科的合併症の精査を行います。
- シノプトフォアを用いた両眼視機能検査を行っています。
- 眼鏡処方、健眼遮蔽、ペナリゼーション法(健眼散瞳)による弱視訓練を行います。
- 先天性無虹彩症、眼白子症などの羞明が強い患者様には調光レンズ、虹彩付SCL、遮光眼鏡の処方を行います。
- 涙道について、特殊手術(シリコンチューブ留置、涙のう鼻腔吻合術)が必要な症例は当院形成外科に紹介します。
- 春季カタルにはアレルギー点眼、ステロイド点眼に加え、免疫抑制薬点眼薬を処方します。全身症状には、当院や信州大学の小児アレルギー専門外来に紹介します。
特殊外来
- ロービジョン外来(視覚補装具適合判定医)を行っています。ロービジョン用にナイツ社製の拡大読書器が用意してあります。
なお、弱視のため受験や就職に配慮が必要な場合は書類を作成します。 - 小児用コンタクトレンズ外来(毎月第4木曜日、無水晶体眼、円錐角膜、強度近視、他)を行っています。
その他
- 眼瞼下垂手術は当院形成外科に紹介します。当科では弱視治療します。
- 外傷、緊急疾患は信州大学にご紹介下さい。相談には応じています。
- 発達障害児は必要に応じて当院神経科、リハビリ科に紹介します。
- 遺伝検索が必要な場合は当院遺伝科に紹介します。
- 指定自立支援医療機関(育成医療・更生医療)の指定を受けています。
検査件数
H30年度 | |
---|---|
PICU 診療 | 15人 |
眼窩部、頭頸部の画像検査 (斜視、眼振、弱視、白色瞳孔等) |
CT、MRI検査18件(覚醒9件、眠剤9件) |
手術件数・治療実績、患者数
H30年度 | |
---|---|
未熟児網膜症レーザー治療 | 10人(20眼) 治療回数:1回10人 全例 合併症(-) |
未熟児では無い網膜症 レーザー治療 |
1人2眼 治療回数:1回 全例 合併症(-) |
斜視手術(両眼) | 68人(28人) |
その他手術(手術室) | 6人 |
涙道プロービング(外来) | 10人 |
入院新患(新生児科) | 新患104人 |
入院再診(新生児科) | 411人 |
外来新患(院内紹介初診) | 356人(121人) |
外来再診(視能訓練を含む) | 4090人 |
新規入院 | 77人 |
未熟児網膜症治療実績(人)(2007年10月~2019年3月:11年6ヶ月)
在胎週数別
在胎週数 | 未熟児網膜症発症 レーザー治療症例数(人) |
未熟児網膜症発症 自然軽快症例数(人) |
計(人) |
---|---|---|---|
在胎22週~(22週0日) | 14(2) | 5(0) | 19(2) |
在胎23週~ | 33 | 13 | 46 |
在胎24週~ | 27 | 11 | 38 |
在胎25週~ | 25 | 6 | 31 |
在胎26週~ | 11 | 26 | 37 |
在胎27週~ | 6 | 25 | 31 |
在胎28週~ | 3 | 34 | 37 |
在胎29週~ | 3 | 19 | 22 |
在胎30週~ | 3 | 36 | 39 |
計 | 125 | 175 | 300 |
出生体重別
出生体重 | 未熟児網膜症発症 レーザー治療症例数 |
未熟児網膜症発症 自然軽快症例数 |
計 |
---|---|---|---|
<300g | 2 | 1 | 3 |
<400g | 2 | 1 | 3 |
<500g | 18 | 7 | 25 |
<600g | 31 | 16 | 47 |
<700g | 32 | 17 | 49 |
<800g | 14 | 24 | 38 |
<900g | 11 | 24 | 35 |
<1,000g | 7 | 20 | 27 |
<1,100g | 6 | 23 | 29 |
≧1,100g | 2 | 42 | 44 |
計 | 125 | 175 | 300 |
2007年10月~2019年3月までの期間で新生児科退院までに国際分類stage4A(網膜剥離)に進行した症例はありません。
当科では未認可薬の抗VEGF薬を用いた硝子体注射(眼注)治療は行いません。
新生児科の全身管理に合わせたレーザー治療を行います。
視能訓練部門
眼科医師の指示のもと、眼疾患に応じて、視機能の異常がないか検査をし、正常な視機能の発達を促すための訓練等を指導いたします。
また、視力の回復の見込みがない患者さんを対象に、本人の持っている見る力を有効に利用する方法を検討し、他施設と連携して支援を行います(視覚しょうがい児のサポート:ロービジョンケア)。
医師の紹介
眼科 部長北澤 憲孝(きたざわ のりたか)
視線が合わない、目が寄っている、白く見える…変だなと感じたら眼科を受診してください。思わぬ疾患が見つかるかもしれません。
興味ある方は「しろくま ニュースレターNO.42、ページ2-3」を参照してください。インタビュー記事が掲載されています。

- 経歴
- 長野県長野市出身。
1991年 東京大学経済学部経済学科卒業 2000年 信州大学医学部医学科卒業 2003年 厚生連篠ノ井総合病院 眼科・医員 2004年 長野赤十字病院 眼科・医員 2007年 信州大学医学部附属病院、長野県立こども病院(非常勤) 2008年 信州大学医学部附属病院・助教(特定雇用) 2009年 信州大学医学部・助教 2014年 長野県立こども病院 眼科・部長
- 所属学会・その他
- 日本眼科学会認定眼科専門医、身体障害者福祉法指定医、小児慢性特定疾病指定医、難病指定医、視覚障害者用補装具適合判定医、長野県角膜移植推進協議会会員、長野県立松本盲学校非常勤講師、卒後臨床研修指導医
日本眼科学会、日本緑内障学会、日本小児眼科学会、日本眼科手術学会、信州医学会