診療科・部門

脳神経外科

脳と頭蓋骨や脊髄の疾患に対して手術を中心とする総合的な治療を行い、心と体の発達に合わせた継続的な医療と支援をさせていただきます。
治療の目標は、疾患の治癒と同時に脳と脊髄を保護して順調な発達を援助することにあり、お子さんとご両親に疾患や治療についての正確な情報をお伝えし、安心できる療養環境に配慮して、不安を少なく治療を続けていただけることを目指しています。 MRIやCTなどの検査はお子さんの負担をできる限り減らし、治療に直結する診断が確実に行えるよう改良を進め、手術は緻密で安全な方法を追求しています。すでに確立した治療法もさらに改良を続け、最新治療も安全性と有効性の検証を行い導入し、治療成績の向上に努めています。小児の脳神経外科疾患は多様でまれなものが少なくありません。ひとりひとりのお子さんにとって最良の治療を提供したいと考えています。

代表的疾患と治療

小児期の代表的な脳神経外科疾患には、脳腫瘍、水頭症、頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)、脊髄髄膜瘤や脊髄脂肪腫などの二分脊椎症、くも膜のう胞などののう胞性疾患、頭蓋内・脳内出血、もやもや病や血管奇形などの脳血管障害、頭部外傷などがあります。

頭蓋縫合早期癒合症(狭頭症)の治療

頭蓋はいくつかの骨が集まってできていますが、小児では骨と骨の間は縫合という柔らかい組織でつながっています。この仕組みによって、脳の成長と一緒に頭蓋も成長します。
しかし頭蓋縫合早期癒合症では、通常よりも早く縫合が癒合して隣同士の骨がつながってしまうため、頭蓋がバランスよく成長できず、長頭(舟状頭)、短頭、斜頭、三角頭、尖頭などのいろいろな形に変形してしまいます。
その結果、頭蓋の内部がきつくなって脳が圧迫され、脳の発達が遅れてしまうこともあります。

治療は、頭蓋の変形を治し脳の圧迫をとることが必要で、頭蓋の再建手術が行われます。その方法には骨延長法、一期的再建法、段階的再建法などがあります。
初回の手術は1歳前に行うと経過は良いと考えています。当院では豊富な治療経験をもとに、ひとりひとりの頭蓋の3D模型を製作し手術のシミュレーションを行って最適な手術方法を検討し、実際の手術を実施しています。水頭症や呼吸障害などを合併すればその治療も重要で、発達を評価し必要に応じてリハビリテーションを継続することも大切です。顔面骨が変形することもあり形成外科とも協力して治療を行っています。

写真は頭部CTの3D画像です。
点線の部分は、頭蓋骨の縫合が早期に癒合しており、頭の形は前後に短くなっています(短頭と言います)。頭蓋再建手術(骨延長法)で変形を修正しました。

写真は頭部CTの3D画像です。
点線の部分は、頭蓋骨の縫合が早期に癒合しており、前頭部の左側が扁平になって後退しています(斜頭と言います)。
頭蓋再建手術(骨延長法)で変形を修正しました。

二分脊椎症の治療

二分脊椎症には脊髄髄膜瘤(脊髄裂)、脊髄脂肪腫、先天性皮膚洞などがあり、脊髄の形成不全、係留(脊髄が固定されていること)や圧迫、細菌感染などが原因となって神経症状が出現します。
症状は、生まれた時すでに見られることもあり、成長とともに出現してくることもあります。排尿や排便の障害、下肢の運動まひや変形、感覚障害などです。
脊髄脂肪腫や先天性皮膚洞では、お尻の溝より上方で腰の正中部分の皮膚に、瘤(こぶ)、血管腫(赤あざ)、陥凹(くぼみ)、小さな穴などを見ることがありますので、その時には小児脳神経外科医に相談してください。
治療は、脊髄髄膜瘤は生まれてすぐに修復術を行いますが、その他では適切な時期に手術を検討します。排尿の問題や下肢のまひ・変形などに対しては、専門の診療科と協力して成長にあわせた継続的な治療を行います。

二分脊椎症の治療

上の写真1、写真2のように、お尻の溝より上方の皮膚に、こぶ、深いくぼみ、赤あざなどがあったら相談してください。
写真3のMRIに見られるような脊髄脂肪腫などが隠れているかもしれません。

脳腫瘍の治療

小児の脳腫瘍には、髄芽腫、上衣腫、神経膠腫、原始神経外胚葉性腫瘍、胚細胞腫瘍など多くの種類があり、できる脳の場所も様々です。
症状も、元気がなくてごろごろしていたり、嘔吐があったり、体がふらついたり、手足が動きにくかったりと様々で、初期にはなかなか気づきにくいようです。具合の悪さが長引くようなら注意してください。
手術では、どんな種類の脳腫瘍なのか診断を確実にするとともに、神経症状を残さず腫瘍を可能な限り摘出することを目指します。
しかし手術だけでは完全治癒できない脳腫瘍も多く、腫瘍の種類にあわせ、現在最も信頼される化学療法と放射線治療などを組み合わせた治療計画にもとづいて、専門診療科のチームで集学的治療を行い、より良い治療成績を追求しています。
入院は長期に及ぶこともあり、お子さんとご両親が少しでも不安を少なく治療を継続していただける療養環境も重要と考えています。治療後の晩期障害に対しても血液腫瘍科と協同して注意深い長期サポートの体制を整えています。

が脳幹と小脳の間にできた脳腫瘍で、手術で摘出されています。

水頭症やのう胞性疾患などの治療

水頭症やのう胞性疾患は、頭蓋内に髄液などがたくさん貯留してしまう疾患ですが、原因や状態はお子さんによって異なります。それらを精確に診断し、治療はVPシャント、神経内視鏡手術、開頭手術などのいずれが最も適切かを慎重に検討し実施します。
神経内視鏡手術が有効な患者さんに対しては、神経内視鏡技術認定医が安全に治療を実施しています。
手術後も定期的に経過を観察することが大切です。

水頭症は脳室に髄液がたまりすぎた状態です(手術前の写真、点線の部分)。
手術後は髄液が流れて脳室が小さくなり、大脳は厚く成長しました(手術後の写真)。

水頭症の治療には、VPシャントと神経内視鏡による治療があります。

VPシャント
VPシャント
神経内視鏡
神経内視鏡

手術件数

1994年~2016年まで
手術件数 1,419件
内訳 頭蓋縫合早期癒合症 147件
二分脊椎症 166件
二分頭蓋・脳瘤 19件
脳腫瘍 108件
脳血管障害(もやもや病、脳血管奇形など) 117件
水頭症 478件(神経内視鏡使用手術87件)
頭蓋内出血・血腫 137件

長野県立こども病院 脳神経外科手術年次報告(PDF)

2016年 2015年 2014年 2013年 2012年 2011年 2010年 2009年

医師の紹介

脳神経外科 部長宮入 洋祐みやいり ようすけ

準備中です

主な経歴

所属学会・その他

脳神経外科 医長千葉 晃裕ちば あきひろ

準備中です

主な経歴

所属学会・その他

脳神経外科 顧問重田 裕明しげた ひろあき

こども達の病気治癒と元気な発達を願い、ひとりひとりにとって最良の治療を考え歩んできました。彼や彼女らの笑顔や頑張りが私のエネルギーの源です。

重田裕明
主な経歴
東京都出身。信州大学医学部医学科卒業。
信州大学医学部附属病院や兵庫県立こども病院などに勤務。
1991年~1992年 フランス・ティモンヌ小児病院小児脳神経外科留学
1994年4月 長野県立こども病院脳神経外科開設、脳神経外科部長
2011年 院長補佐兼診療部長 兼務
2014年 副院長兼診療部長 兼務
2021年 顧問
所属学会・その他
医学博士、日本脳神経外科学会専門医、日本小児神経外科学会認定医、
日本神経内視鏡学会技術認定医
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