診療科・部門

総合周産期母子医療センター

当院は、長野県で唯一の総合周産期母子医療センターに指定されています。
総合周産期母子医療センターは以下の三点が重要な役割です。

  1. 胎児・新生児救急医療の長野県における最後の砦として、胎児診断、新生児医療の中心的役割を果たしています。
  2. 標準的な新生児蘇生法の普及、正期産児の出生直後のケアー、早産児の診療など、長野県における周産期医療従事者の研修・教育をおこないます。
  3. 新生児期より長期入院を必要とする小児や、退院後の成長・発達のフォローとケアーが必要な児に対して、多職種と連携していつでも、どこでも医療が受けられるように長野県全体のシステムを構築しています。

周産期医療とは

妊婦さんを見守る人々

周産期医療とは、妊娠22週以降の妊婦さんと胎児、そして出生後1ヶ月までの赤ちゃんに関わる医療です。

産科医、小児科医、助産師、看護師だけでなく周産期医療は多くの職種の人の力で支えられています。例えば、女性の妊娠前、妊娠中の栄養と喫煙は、胎児の先天奇形や成長に大きな影響があることがわかっており、10代後半からの女性の栄養・保健指導が重要です。また低体重や先天奇形を持って生まれた赤ちゃんの精神運動発達の促進には、理学療法士、作業療法士、心理療法士、保育士の関わりが欠かせません。

周産期・小児医療の中心は言うまでもなく母と子です。お父さんの力も欠かせません。母子の回りには家族が存在しますが、家族の問題、特に心の問題は母子に大きな影響をおよぼします。赤ちゃんは一人では生きていけないので、家族の中で最も弱い立場にあり、もし親や家族に様々な問題が生じた場合、最初に犠牲になるのは子どもです。

子どもの健やかな成長発達のために、医療・福祉・教育・行政がトータルな視点から横断的に「かわいい子ども達を守る」ことが信州の未来を開くのだと思います。

長野県(日本、世界)で出生する子ども達の心と体を守ることが、長野県立こども病院総合周産期母子医療センターの「使命」であり、私達はここで働けることを「誇り」に思っています。

母乳育児支援についての方針


私たちは、WHO/UNICEF共同声明の「母乳育児を保護・推進・支援するための3つの基本理念」と「母乳育児を成功に導く10のステップ」に基づいて母乳育児を推進しています。

3つの基本理念

  1. お母さんと赤ちゃんの状況に合わせて支援します。
  2. 環境に配慮された家族中心のケア(Family Centered Care)を行います。
  3. 妊娠中から赤ちゃんの退院後にかけて継続したケアを行います。

母乳育児を成功に導く10のステップ

  1. 母乳育児についての基本方針を文書にし、関係するすべてのスタッフに周知します。
  2. 母乳育児支援に必要な知識と技能をスタッフにトレーニングします。
  3. 産前から妊娠中の女性に母乳育児の重要性とその方法について情報提供します。
  4. 産後早期からその後長期にわたって、お母さんと赤ちゃんの肌と肌の接触(カンガルーマザーケア)を積極的に勧めていきます。
  5. お母さんに母乳分泌の確立と維持の方法を伝え、母乳育児を継続できるように支援します。
  6. 医学的に必要でない限り、赤ちゃんには母乳以外の栄養や水分を与えないようにします。
  7. お母さんがいつでも赤ちゃんのそばにいられるようにします。
  8. 赤ちゃんの欲しがるサインを認識し、それにこたえるよう支援をします。
  9. 直接授乳を優先的に勧めていきます。人工乳首、おしゃぶりやニップルシールドは正当な理由がある場合にのみ使用します。
  10. お母さんが母乳育児を継続できるように支援し、退院後は継続的な支援とケアが受けられるように調整します。

センター長の紹介

副院長・総合周産期母子医療センター長廣間 武彦ひろま たけひこ

長野県の周産期施設と緊密な連携体制を保ちながら、高度の周産期救急医療を提供します。

主な経歴
1994年 信州大学医学部卒
2003~2004年 カナダ・セントマイケル病院呼吸研究部門
2005年 長野県立こども病院新生児科
2009年 同副部長
2011年 同部長
2018年 総合周産期母子医療センター長(~現在)
2023年 副院長(~現在)
所属学会・その他
医学博士、信州大学医学部臨床教授
外国人医師臨床修練指導医(厚生労働省)、日本周産期・新生児医学会 新生児蘇生コアインストラクター
日本新生児成育医学会理事、日本小児科学会代議員、日本小児科学会指導医、日本小児科学会専門医、日本周産期・新生児医学会 周産期新生児指導医、日本周産期・新生児医学会 周産期専門医(新生児)、長野県母子衛生学会常任理事
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