診療科・部門

臨床検査科

生まれてから大人になるまで、こどもの体は常に変化し続けています。
こどもは小さな大人ではありません。大げさに言えば別の生き物のようなものです。
病気の種類も大人とは随分違います。そのためこどもの病気を理解して正確に診断するには、成長にともなって変化していく体の特徴をよく知ることが大切です。


例えば、赤ちゃんの骨が同じ形のまま成長して大人の骨になるまで、いったい何が起きているのでしょうか?
小さな模型の家を同じ形の大きな家にするとき、柱を太く長くしただけでは内部の空間がなくなってしまいます。ちゃんと住める家にするには、設計図を拡大して建て替えるしかありません。こどもの骨も全く同じです。骨の中では、一つの設計図(遺伝子)を使って大人になるまで毎日建て替え作業が行われているのです。こうした「人体発生学」の知識は、こどもの病気を知るために欠かすことができません。


当科では、診療のために採った血液や臓器など体の一部(検体)を使って病気の診断や詳しい解析を行っています。

検体の“形”の変化を肉眼や顕微鏡で詳しく調べて診断を下すのが病理学的診療です。病気の部分はよく見ると“形”が正常とは異なっているため、その違いがはっきりと見つかれば診断が確定します(確定診断)。診断が下されると担当医に報告され、その後の治療方針が決まることになります。

病理解剖は最近減少傾向にありますが、本当に最後の診断や治療の評価を下すものであり、病院として医療の質を保つために非常に大切な手段です。

病理学的診療の他にも、乳び胸※判定のような特殊検査や各種の遺伝子検査を行っています。遺伝子検査ではヒトの遺伝子だけでなくウイルスなどの微生物の遺伝子も調べています。ヒトの遺伝子検査は倫理的配慮が特に大切であり、国や学会が定めたガイドラインに沿って進めています。

直接患者さんと接する機会が少ない診療科ですが、担当医に提供する情報を通して多くの患者さんとつながっています。

乳び胸:中性脂肪を多く含む白く濁った液体が胸の内部に貯まった状態

医師紹介

臨床検査科 部長浅香 志穂あさか しほ

患者さんやご家族に直接お会いする機会はほとんどありませんが、迅速かつ適切な検査の提供に努め、こども病院の診療を支える縁の下の力持ちとなれるよう尽力します。

主な経歴
千葉県千葉市出身。2007年信州大学医学部医学科卒業。
2年間の臨床研修の後、信州大学医学部附属病院臨床検査部(2009-2010年・2011-2017年・2020-2023年)、飯田市立病院臨床病理科(2010-2011年)、米国Johns Hopkins大学腫瘍学研究室での研究留学(2017-2020年)などを経て、2023年4月より現職。
所属学会・その他
医学博士、信州大学医学部特任講師・臨床講師、死体解剖資格
日本臨床検査医学会(臨床検査専門医・管理医)
日本病理学会(学術評議員・病理専門医・指導医・分子病理専門医)
日本臨床細胞学会(細胞診専門医)
日本小児病理研究会、日本SIDS・乳幼児突然死予防学会
日本婦人科病理学会、日本婦人科腫瘍学会
United States and Canadian Academy of Pathology
International Society of Gynecological Pathologists
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