診療科・部門

内分泌代謝科

内分泌代謝科では内分泌の病気と代謝の病気の患者さんを診療しています。

内分泌の病気

内分泌の病気とはホルモンの異常を起こす病気です。
ホルモンには成長ホルモン、甲状腺ホルモン、男性・女性ホルモンなどがあり、それらが少なすぎる、多すぎる状態が異常、病気です。 主な症状としては、背が低い・伸びづらい(成長ホルモン分泌不全性低身長症など)や背の伸びがよすぎる(思春期早発症など)、甲状腺が腫れている(甲状腺機能低下症や甲状腺機能亢進症など)、思春期が早すぎる(思春期早発症)、思春期が来ない(性腺機能低下症など)、尿がたくさん出て喉が渇く(糖尿病や尿崩症など)、外性器の形がおかしい(性分化疾患など)、O脚や骨折しやすいなどの骨の異常(くる病など)などがあります。
ホルモンが足りないために症状が出ていることが多く、治療としてホルモン補充を行います。

代謝の病気

代謝の病気の主なものは先天代謝異常症です。これは、食べ物に含まれる栄養素を消化・吸収したり、不用になったものを排泄する「代謝」が生まれつき正常に出来ないために様々な症状を起こす病気です。生まれつきの病気ですが、生まれたときには症状がなく全く健康に見えることがほとんどです。しかしそこで適切な対応を取らないと身体障害や発達の遅れ等の障害が発生する恐れがあります。そのため一部の病気に限られますが、生後4~6日の時点で赤ちゃんのかかとから採血して検査する「新生児マススクリーニング」により早期発見・早期治療を行い障害の多くを未然に防いでいきます。
当科では長野県下の全ての新生児マススクリーニングの判定を行い、先天代謝異常症が発見された際にはその専門的な治療を行っています。

主な対象疾患

  • 成長障害:成長ホルモン分泌不全性低身長症、SGA性低身長症、ターナー症候群、プラダ―ウィリー症候群、ヌーナン症候群など
  • 思春期の異常:思春期早発症、思春期遅発症、性腺機能低下症など
  • 甲状腺疾患:先天性甲状腺機能低下症、橋本病、バセドウ病など
  • 糖尿病:1型糖尿病、2型糖尿病など
  • 外性器異常:性分化疾患など
  • 副腎疾患:先天性副腎皮質過形成症、クッシング症候群など
  • 骨・副甲状腺疾患:ビタミンD欠乏性くる病、低リン血症性くる病など
  • 下垂体疾患:下垂体機能低下症、尿崩症など
  • 骨系統疾患:軟骨無形成症、軟骨低形成症、骨形成不全症など
  • 先天代謝異常症:アミノ酸代謝異常症:フェニルケトン尿症、ホモシスチン尿症など
    有機酸代謝異常症:メチルマロン酸血症、プロピオン酸血症など
    脂肪酸代謝異常症:MCAD欠損症、VLCAD欠損症など
    ムコ多糖症1型・2型など
  • 肥満症、メタボリックシンドローム
  • 脂質異常症:家族性高コレステロール血症など

アラカルト

学校健診での成長障害

学校健診における発育の評価は最近、成長曲線を用いて行われています。これにより、成長・発育のきめ細かい分析・評価が可能となり、そこに潜む病的状態を検出できるようになりました。
当科では受診した子どもに負荷試験(当科では日帰りでの検査です)や画像検査を行い正確な診断をつけ、最先端の治療を含む最適な治療を行っています。
さらにこの診療を通して学校健診そのものの問題点を洗い出し、より良い学校健診にすべく働きかけをしています。

生活習慣病検診の脂質検診における家族性高コレステロール血症

長野県下では小学校4,5年生時に子どもの生活習慣病検診の一部として脂質検査が広く行われています。悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高値となる家族性高コレステロール血症はこの脂質検診で発見されることが増えています。子どもでの使用が認可された薬もあり、10歳過ぎから服用することにより、将来的な冠動脈疾患のリスクを大幅に下げることが立証され、治療効果が期待されています。
当科では、LDLコレステロール値を目標値に抑えるように積極的に薬物療法を行っています。

成人移行を見据えた子ども自身への働きかけ

内分泌代謝疾患は子どもの時に発症し、成人後もずっと治療やマネジメントが必要な病気です。当初は小児科医が診療しますが、成人後(この時期は病気や子どもの状況により変わります)成人科への移行が必要となります。
自分の病気を子ども自身が理解し自分自身の言葉で伝えられるようにすることは、子ども自身が治療に主体的に関わっていくためには必要なことです。
当科では小さい頃からなるべく子ども自身にも語りかけ、その子の言葉で答えてもらうことを心掛けています。その積み重ねにより成人科への移行を考えるころには子ども自身が治療に主体的に関わる態度が身についていればと期待しています。

医師の紹介

内分泌代謝科 部長兼生命科学研究センター長長崎 啓祐ながさき けいすけ

内分泌代謝専門医として長年大学病院で勤務をしておりました。今までの経験を生かし、患者さんの立場にたって、最新・最善の医療をおこなっていきたいと思います。お気軽にご相談ください。

主な経歴
長野県松本市出身。
1995年新潟大学医学部卒業。2000年国立小児病院内分泌代謝科レジデント。2002年〜2023年新潟大学医歯学総合病院小児科勤務。2023年より現職。
所属学会・その他
博士(医学)、日本小児科学会専門医・認定指導医、日本内分泌学会専門医・指導医・評議員、日本人類遺伝学会臨床遺伝専門医・評議員、日本糖尿病学会専門医、日本甲状腺学会専門医・評議員、日本小児内分泌学会・理事・評議員、日本マススクリーニング学会・評議員、日本先天代謝異常学会、日本小児遺伝学会、欧州小児内分泌学会、アジアオセアニア小児内分泌学会ほか

内分泌代謝科 副部長・医監中村 千鶴子なかむら ちづこ

こどもたちの成長に寄り添い伴走できるような、あたたかな医療提供ができればと思っています。

主な経歴
東海大学医学部卒業。
自治医科大学附属病院で初期研修。信州大学医学部小児医学教室に入局後、信州大学医学部附属病院、市立甲府病院、長野県立こども病院新生児科、丸の内病院に勤務。成育医療研究センター内分泌代謝科で研修。2024年4月より現職。
所属学会・その他
医学博士、日本小児学会専門医、日本周産期新生児専門医、長野県発達障がい診療医取得
所属学会:日本小児科学会、日本小児内分泌学会、日本内分泌学会、日本周産期新生児学会、日本成育医学会、日本マススクリーニング学会
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