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先天性代謝異常等検査事業(新生児マススクリーニング)

新生児マススクリーニングとは?

先天性代謝異常検査のお知らせ

先天性代謝異常症とは、食べ物に含まれる栄養素を消化・吸収したり、不用になったものを排泄する「代謝」が、生まれつき正常に出来ないために、様々な症状を起こす病気です。生まれた時は全く健康に見えても、適切な対応をとらないと身体障害や発達の遅れ等の障害が発生する恐れがあります。
しかし、これらの病気は早期に発見し適切な治療を続けることで、障害の多くを未然に防ぐことができます。

こうした取り組みを「新生児マススクリーニング」と呼んでおり、世界各国で行われています。
長野県では、タンデムマス法という新しい分析法を用いて、25疾患の検査を実施しています。
長野県立こども病院では、長野県より委託を受けて検査を行っております。

検査を行う対象疾患

アミノ酸代謝異常(6疾患)

  • フェニルケトン尿症
  • メープルシロップ尿症
  • ホモシスチン尿症
  • シトルリン血症1型
  • アルギニノコハク酸尿症
  • 高チロシン血症

有機酸代謝異常(8疾患)

  • メチルマロン酸血症
  • プロピオン酸血症
  • イソ吉草酸血症
  • メチルクロトニルグリシン尿症
  • ヒドロキシメチルグルタル酸(HMG)血症
  • 複合カルボキシラーゼ欠損症
  • グルタル酸血症1型
  • βケトチオラーゼ欠損症

脂肪酸代謝異常(8疾患)

  • 中鎖アシルCoA脱水素酵素(MCAD)欠損症
  • 極長鎖アシルCoA脱水素酵素(VLCAD)欠損症
  • 三頭酵素(TFP)/長鎖3-ヒドロキシアシルCoA 脱水素酵素(LCHAD)欠損症
  • カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1(CPT1)欠損症
  • カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-2(CPT2)欠損症
  • カルニチンアシカルニチントランスロカーゼ欠損症
  • 全身性カルニチン欠乏症
  • グルタル酸血症Ⅱ型

糖質代謝異常(1疾患)

  • ガラクトース血症

内分泌疾患(2疾患)

  • 先天性甲状腺機能低下症
  • 先天性副腎過形成症

検査の申込方法

出産された医療機関・分娩施設で申し込みをしてください。
「先天性代謝異常等検査事業申込書兼同意書/撤回書」に必要事項を記入し、提出するようになります。
検査にかかる費用のうち、検査料は無料(公費負担)ですが、採血料等は自己負担となります。
費用の詳細については、出産された医療機関にお尋ねください。

検査について

saiketu

検査は生まれて4日~6日目に赤ちゃんの足の裏からごく少量の血液を採取して行います。

こども病院には、出産された医療機関・分娩施設から検査用ろ紙に採血された血液と申込書が届けられます。

検査結果について

検査結果は、採取からおよそ2週間後、依頼のあった医療機関・分娩施設に報告しています。
なお、精密検査が必要な場合は直接連絡をさせていただく事があります。こども病院からの連絡は、同意書に記載されている連絡先に行います。
検査結果は長野県へも報告し、必要があればお住まいの地域の保健福祉事務所や市町村と連携して、フォローアップを行います。
事業全体を協議する場として代謝専門医を加えた連絡協議会を開催しています。

結果票の見方

検査結果票

新生児マススクリーニングの結果は、左記のような「結果票」により検査をお申し込みになった医療機関を通じてお渡ししています。

(1)ご利用になった産科医療機関の名前と、お母さんのお名前が印字してあります。

(2)採血した日付が記載されています。初回採血日、再採血日が分かります。

(3)検査結果の欄です。左に病気の名称、右に検査の結果が記載されています。結果の見方は以下の通りです。

正常 スクリーニング検査の結果が、正常範囲内であったことを示しています。
要再検 要再検とは、再検査の必要があるという意味です。
スクリーニング検査の結果が、正常範囲内ではなかったため、改めて採血し、もう一度スクリーニング検査を受けていただく必要があります。
要精検 要精検とは、精密検査の必要があるという意味です。
スクリーニング検査の結果、病気の疑いがあるため、専門医にきちんと診ていただく必要があります。
不備 哺乳量が十分ではない、採血日数が適当ではない、ろ紙血液の状態が悪い、血液の量が少ない等の場合に「不備」と記載されます。この場合改めて採血し、もう一度スクリーニング検査を受けていただく必要があります。
低体重 出生体重が2,000g以下の場合、体重が増えてから改めて採血し、もう一度スクリーニング検査を受けていただく必要があります。

※疾患の見逃しを防ぐため原則として生後4~6日での採血が必要です。

「要再検」と言われたら

再採血とは、最初の検査で確実に正常と診断できない場合や、採血時に哺乳が十分できていなかったりした場合に行われる検査です。再検査は50人に1人程度の割合で必要となります。
原則的に今すぐ発症するような病気ではないので、再検査結果が出るまでは健常のお子さんと同じと考えても大丈夫です。
もし、熱が出ていたり、極端に哺乳が悪い場合には採血の際にご相談ください。

「要精検」と言われたら

精密検査は、スクリーニング検査の結果、病気の疑いがある場合に専門の医療機関で行われる検査です。精密検査は500人に1人くらいの割合で必要になります。ただし、新生児マススクリーニングは、病気の可能性がある赤ちゃんを「拾い上げる」検査であり、「要精密」という結果の通知があっても、病気と決まったわけではありません。
精密検査を受けた赤ちゃんがすべて病気というわけではなく、病気と診断される割合は精密検査を受ける赤ちゃん3~4人に1人くらいといわれています。

留意事項

  • ろ紙に採血した血液は、5年間保存します。その間にもしお子さんに病気が発見された場合、振り返って原因を調べるための検体として使用できる可能性があります。
  • 検査のためにいただいた個人情報は、本検査の目的以外には使用いたしません。ろ紙に採血した血液は、保存期間終了後に個人が特定できない形で破棄します。
  • 検査精度の向上や検査法の改良のために検査終了後の検体を使用したり、その結果を学会等で発表させていただく場合があります。その際には、個人情報に十分に配慮し、個人が特定できない形で行います。同意いただけなかった場合でも、お産などで不利益を被ることはありません。また、同意は後から撤回をすることも可能です。
  • 長野県以外の医療機関で出産される場合は、医療機関所在地の都道府県または政令指定都市にお問い合わせください。

OTC欠損症に関する研究についてのご案内

長野県立こども病院は、新生児マススクリーニング検査「タンデムマス・スクリーニングの対象疾患にOTC欠損症を追加するための研究」を島根大学小児科と協力して行っています。

OTC欠損症に関する研究についてのご案内

リンク

「有機酸・脂肪酸代謝異常症って何?(一般向けガイドブック)」や「タンデムマスQ&A(新しい新生児マススクリーニング )」、タンデムマス法に関する詳しい説明などがご覧いただけます。
ご参考にしてください。

日本マススクリーニング学会 タンデムマス・スクリーニング普及協会

子どもの病気は治療よりも予防、
子どもたちの明るい未来のために、
私たちは全力を挙げて障害発生の防止に取り組みます。

長野県健康福祉部保健・疾病対策課から配布されたパンフレットから引用しています。

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