診療科・部門

出生前診断相談外来(いちご外来)

はじめに

妊娠おめでとうございます。

新しい家族を迎えるにあたり楽しみや期待が大きいと思います。一方で、もし赤ちゃんに病気があったらどうしよう、障害があったら育てられるかなと不安もあると思います。
赤ちゃんの病気がわかるのであれば、知りたいと思う気持ちから出生前診断を受けたいと思われる人もいると思います。
ここでは出生前診断について皆さんからよく聞く質問を中心にQ&A形式でお示ししたいと思います。

最初に日本医学会 出生前検査等認証制度等運営委員会のホームページをご覧ください。

日本医学会 出生前検査等認証制度等運営委員会(https://jams-prenatal.jp/)

出生前診断についてよくある質問

Q,病気や障害を持って生まれる赤ちゃんはどれくらいいるのでしょうか?

A,100人の赤ちゃんが生まれると3-5人に何らかの医療的ケアや治療が必要な赤ちゃんが生まれてきます。
その割合はお母さんやお父さんの年齢には関係なく、出産の回数にも関係ありません。すべてのカップルに授かる可能性があります。
生まれながらに持っている疾患や体質の変化は胎児期や新生児期から何らかの症状が出る場合もあれば、発育とともに症状が現れるものもあり、大人になってから症状が現れる疾患もあります。

Q,赤ちゃんの疾患や体質の変化が起こる原因は何でしょうか?

A,原因の35%は染色体の変化(水色)で、60%は遺伝子の変化(黄色)で5%は環境・催奇性(ウイルス感染や薬物など)が原因で起こります。

Q,遺伝子とは何ですか?染色体と遺伝子はどこが違いますか?

A,まず遺伝子について説明します。家を建てるにも設計図が必要で、おいしい料理を作るにもレシピが必要です。 遺伝子はすべての生物を作る設計図です。

遺伝子は1つ1つの細胞の核の中に存在し、4種類のDNAから構成されています。遺伝子からタンパク質が作られ、そのタンパク質をもとに私たちの体は形成されています。研究は進んでいますが、まだすべての遺伝子が解明されている訳ではありません。

細胞はしばらくすると細胞分裂を開始して若返ります。
細胞分裂が開始すると、核の中の遺伝子がヒストンというタンパク質とともに折りたたまれ染色体になります。つまり染色体は遺伝子の入る箱といえます。

Q,染色体が変化するとどうなりますか?

A,ヒトの染色体は1つの核の中に46本確認されることが多いです。
すべてのヒトに確認される染色体は常染色体といい、長いものから1番から22番の番号がつけられ対になっています。性別を決める染色体を性染色体といいX染色体とY染色体があります。

各々の染色体に入っている遺伝子は異なります。そのため変化を起こした染色体によって症状は異なります。
また、均等に遺伝子が入っているわけではありません。
染色体に変化が起こっても、遺伝子に変化がなければ症状が出ない場合もあります。

Q,35歳以上になると染色体の変化が起こりやすくなると聞きましたがなぜですか?

A,配偶子(精子・卵子)のもとになる細胞は、染色体を23対46本持っています。成熟した配偶子になる過程で、減数分裂という特殊な細胞分裂を行います。
減数分裂によって配偶子は各染色体を1本ずつ持つことになります。23本の染色体をもった配偶子が受精することにより、受精卵の染色体は23対46本になります。

年齢が上がると、減数分裂の時に各々の染色体が離れにくくなり(染色体不分離)、24本や22本の染色体をもつことがあります。染色体23本の配偶子と24本の配偶子が受精すると受精卵は47本の染色体をもちます。これが染色体の数の変化の原因です。

年齢とともに、染色体の数の変化の確率が徐々に高くなりますが、35歳で突然確率が上がるわけではありません。

 

 

Q,出生前診断を受ければ、赤ちゃんの疾患がすべてわかりますか?

A,答えは、Noです。

現在行われている出生前診断は染色体を調べる検査です。すべての遺伝子を調べていません。そのため、染色体が正常でも中の遺伝子がすべて正常というわけではありません。一般的に行われている染色体検査では、染色体の微細な変化は診断できません。

Q,出生前診断にはどういうものがありますか?

A,当科で提供している出生前診断は以下の2つです。

Q,絨毛検査や羊水検査のリスクを考えるとできるだけ受けたくないのですが、ほかの検査はありますか?

A,出生前診断は絨毛検査と羊水検査です。
検査を迷っている方の判断の材料の1つとしてクアトロテストとNIPTがあります。どちらも母体の採血を行うため、胎児への影響はありません。

クアトロテストは18・21番染色体が対象です。NIPTは13・18・21番染色体が対象です。すべての染色体が対象ではありません。
結果は陰性(正常)もしくは陽性(異常)と報告されます。陽性(異常)であった場合でも胎児の染色体に変化があるとは限りません。確定診断のために絨毛検査・羊水検査が必要になります。

Q,出生前診断を受けたい場合にはどうしたらよいですか?

A,当科では出生前診断について情報提供を行い、皆さんと一緒に考えるために出生前診断相談外来(いちご外来※)を開設しました。

いちご外来の基本理念

  • 受診された皆様の想いを尊重し一緒に出生前診断について考えます。
  • 出生前診断だけではなく、妊娠や出産、育児等についてできる限り正確な情報提供を行います。当科で対応不可能と判断した場合には、適切な施設へご紹介します。
  • どのような決定をされても、サポートします。

※いちごの花言葉「尊重と愛情・幸福な家庭」、茶道の一期一会「一生に一度の出会いとこころ得て誠意を尽くす」から「いちご外来」としました。   

いちご外来の受診を考えたら

  1. 下記のリンクから、日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会ホームページを必ず読んでください。
  2. 出生前診断について相談したいと思われた場合には、現在かかりつけの産婦人科医にその旨をお伝えいただき先生と相談してください。
  3. 受診をすることが決まった場合には、かかりつけ医に紹介状(診療情報提供書)の作成を依頼していただき、こども病院へ予約の電話をお願いします。

診察の内容

  • 出生前診断などについての情報提供や、皆さんが不安に思っていることや心配なことについて一緒に考えるための外来です。
  • 原則ご夫婦もしくはカップルでの受診をお願いします。
  • 問診ののち、胎児の心拍の確認、週数の確認を超音波検査で実施します。
  • その後、出生前診断についての遺伝カウンセリングを実施します。
  • 原則初診時には検査は行いません。再度検査等についてお二人で相談していただき、後日ご希望をご連絡ください。検査の日程をご相談させていただきます。
  • 受診料および検査費用はすべて自費になります。

受診料、検査の費用

受診料

いちご外来初回受診料  5,500円 ※
いちご外来再診料  2,250円

検査の費用

いちご外来超音波検査料  4,780円 ※
産科遺伝カウンセリング料(1時間)  5,940円 ※
クアトロテスト  11,500円
NIPT  79,750円

確定診断のための絨毛検査・羊水検査は別途検査料がかかります。

※初診時にかかる費用

受診ご希望の場合

下記の番号へご連絡いただき、「いちご外来予約希望」と伝えてください。
※いちご外来は水曜日の午後のみです。

電話番号:0263-73-6700(こども病院代表)
平日の10時~15時30分にお電話ください。
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