はじめに
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出生前診断とは、妊娠中に胎児先天性疾患の有無について調べる検査のことをいいます。妊娠週数や検査によって分かる疾患に限りがあります。いろいろな検査を組み合わせても出生前にすべての先天性疾患が分かる訳ではありません。
こども病院のホームページや以下の情報サイトをご夫婦で読んでいただき、いちご外来を受診するかお考えください。
下記のリンクから、日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会ホームページを必ず読んでください。
出生前検査認証制度等運営委員会ホームページ(https://jams-prenatal.jp/)NIPT説明書(https://jams-prenatal.jp/file/nipt_setsumei_a4.pdf?20240425)
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出生前診断についてよくある質問
- Q1,病気や障害を持って生まれる赤ちゃんはどれくらいいるのでしょうか?
- Q2,赤ちゃんの疾患や体質の変化が起こる原因は何でしょうか?
- Q3,染色体と遺伝子の関係は?
- Q4,35歳以上になると染色体の変化が起こりやすくなると聞きましたがなぜですか?
- Q5,出生前診断検査を受ければ、赤ちゃんの疾患がすべて分かりますか?
- Q6,こども病院で受けられる出生前診断検査は?
Q1,病気や障害を持って生まれる赤ちゃんはどれくらいいるのでしょうか?
A,100人の赤ちゃんが生まれると3-5人に何らかの医療的ケアや治療が必要な赤ちゃんが生まれてきます。
その割合はお母さんやお父さんの年齢には関係なく、出産の回数にも関係ありません。すべてのカップルに授かる可能性があります。
生まれながらに持っている疾患や体質の変化は胎児期や新生児期から何らかの症状が出る場合もあれば、発育とともに症状が現れるものもあり、大人になってから症状が現れる疾患もあります。
Q2,赤ちゃんの疾患や体質の変化が起こる原因は何でしょうか?
A,先天性疾患の原因の35%は染色体の変化(水色)、60%は遺伝子の変化(黄色)、5%は環境・催奇性(ウイルス感染や薬物など)です。
Q3,染色体と遺伝子の関係は?
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A,染色体は細胞の核の中に46本あります。
染色体の中に、多くの遺伝子が含まれています。
遺伝子は4種類のDNAからなり、体を作る設計図にあたります。
染色体の変化(本数の変化や構造の変化)が起こると、そこに含まれる遺伝子の種類によって様々な症状が現れます。染色体に変化が起こっても、遺伝子に変化がなければ症状が出ない場合もあります。
すべてのヒトに確認される染色体は常染色体といい、1番から22番の番号がつけられ対になっています。性別を決める染色体を性染色体といいX染色体とY染色体があります。
Q4,35歳以上になると染色体の変化が起こりやすくなると聞きましたがなぜですか?
A,配偶子(精子・卵子)のもとになる細胞は、染色体を23対46本持っています。成熟した配偶子になる過程で、減数分裂という特殊な細胞分裂を行います。
減数分裂によって配偶子は各染色体を1本ずつ持つことになります。23本の染色体をもった配偶子が受精することにより、受精卵の染色体は23対46本になります。
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年齢が上がると、減数分裂の時に各々の染色体が離れにくくなり(染色体不分離)、24本や22本の染色体をもつことがあります。染色体23本の配偶子と24本の配偶子が受精すると受精卵は47本の染色体をもちます。これが染色体の数の変化の原因です。
年齢とともに、染色体の数の変化の確率が徐々に高くなりますが、35歳で突然確率が上がるわけではありません。
Q5,こども病院で受けられる出生前診断検査は
A,答えは、Noです。
現在行われている出生前診断は染色体を調べる検査です。すべての遺伝子を調べていません。そのため、染色体が正常でも中の遺伝子がすべて正常というわけではありません。一般的に行われている染色体検査では、染色体の微細な変化は診断できません。
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Q6,こども病院で受けられる出生前診断検査は?
A,
非確定的検査 | 確定的検査 | |||
---|---|---|---|---|
検査の種類 | 超音波検査 | 母体血清マーカー検査 (クアトロ検査) |
NIPT (非侵襲性出生前遺伝学的検査) |
羊水検査 |
実施可能時期 | 11週以降を推奨 初診時に行います |
15週以降 | 9週以降 | 15-16週以降 |
対象疾患 | 形態異常の有無 | 18トリソミー 21トリソミー 開放性神経管奇形 |
13トリソミー 18トリソミー 21トリソミー |
染色体の数や構造の変化 |
検査方法 | 超音波検査 | 採血 | 採血 | 羊水穿刺 (破水、流産のリスクあり) |
結果が出るまでの期間 | 当日 | 10日~2週間 | 約2週間 | 2~3週間 |
検査費用 | 約5,000円 | 約12,000円 | 約8万円 | 約8~12万円程度 |
検査の時期と流れ(例)
- 16週にNIPTやクアトロ検査を行った場合、結果説明が約2週間後の18週頃になります。
- 非確定的検査(NIPT、クアトロ検査、胎児超音波検査)で胎児染色体異常が疑われる場合は偽陽性(赤ちゃんが本当は染色体異常がないのに検査は陽性となる)の可能性があるので確定的検査(羊水検査)が必要になります。
- 18~19週に羊水検査を行った場合、約2週間後の20~21週頃に羊水検査の結果説明となります。
いちご外来の受診について
いちご外来初診:水曜午後(完全予約制)再診は水曜以外も可能です。
対象
- 県内在住の方。
- 単胎妊娠の方(当院では多胎妊娠には対応していません)。
- 初診時、結果説明時、羊水検査時に、配偶者の方とお二人で受診できる方。
- 受診時に妊娠11週以降となることをお勧めしております(9~10週では超音波検査での評価が難しいため)。
そのため、かかりつけ医で分娩予定日を決めてもらってから予約の電話をしてください。 - かかりつけ医からの紹介状のある方。
- 当院では年齢の制限は設けていません。
注意事項
- 妊婦さんご自身が電話をして予約を取ってください。
- 電話では予約の調整を行います。検査やホームページの記載についての質問は電話では対応いたしかねます。これらの質問に時間をとられ、他の方の予約電話がつながらない事案が発生しています。ご了承ください。
ご予約をキャンセルされる場合には、速やかに(遅くとも予約日前日までに)産科外来に必ずご連絡ください。 - 流産になっていないか、重大な形態異常がないかを確認するため、初診時には全員に超音波検査を行います。
- 超音波検査後、出生前診断についての遺伝カウンセリングを実施します。
- 受診料および検査費用はすべて自費になります。
- 妊婦健診は行いません。かかりつけの病院に受診するようお願いします。
- 当院に通院中の方は主治医に相談し、妊婦健診とは別の日の予約をお取りください。(同日には行いません)
受診料、検査費用
いちご外来 初診時
いちご外来初診料 | 5,500円 |
---|---|
いちご外来超音波検査料 | 4,780円 |
遺伝カウンセリング料(1時間) | 5,940円 |
合計 16,220円+実施した検査料金がかかります。
いちご外来 再診時
いちご外来再診料 | 2,250円 |
---|---|
他に超音波検査料 | 4,780円 その他の検査料 実施時のみ |
クアトロテスト 15週以降 初診時に検査可能です。 |
11,500円 |
NIPT 10週以降 初診時に検査可能です。 |
79,860円 |
羊水検査 15週以降 初診時には行えません。 |
8~12万円程度 |
いちご外来の受診について(連絡先)
受診をご希望の場合は下記の番号へご連絡いただき、「いちご外来受診希望」とお伝えください。予約のお電話はかかりつけ医に分娩予定日を決めてもらってからご連絡ください。
問診票を記載し、紹介状とともにご持参ください。
いちご外来初診は水曜午後のみです。
再診は水曜以外も可能ですが、一般外来と同様に土日・祝日は休診です。
平日の10時~15時30分にお電話ください。